認知症と毎日の飲み物の関係
認知症やアルツハイマー病は、加齢とともに脳の機能が低下し、記憶や判断力に支障をきたす病気です。根本的な治療薬はまだ限られているため、日々の生活習慣による予防が非常に重要視されています。今回、身近な飲み物である「紅茶やコーヒー」が、将来の認知症リスクにどのような影響を与えるかを詳しく調べた研究結果が発表されました。この研究は、中国・汕頭大学の研究グループによって行われ、詳細は2024年8月12日付の『Food & function』に掲載されています。
75万人を対象とした大規模な調査
この研究は、過去に世界で行われた38件の調査データを集め、合計約75万人分の情報をまとめて分析した「メタ解析」という信頼性の高い手法で行われました。普段から紅茶やコーヒー、カフェインをどれくらい摂取しているかによってグループ分けし、将来的な認知症やアルツハイマー病の発症リスクにどのような違いが出るかを、統計を用いて詳しく調べました。
紅茶は「飲むほど」コーヒーは「適量」が良い傾向
分析の結果、紅茶については、最も多く飲むグループは最も少ないグループに比べて認知症リスクが約16%低いことが分かりました。紅茶は1日1杯増えるごとにリスクが少しずつ下がる傾向(線形関係)が見られました。一方、コーヒーについては、全く飲まないよりは「1日1〜3杯」飲む場合の方がリスクが低いことが示されましたが、それ以上飲みすぎると効果は確認されませんでした。また、カフェイン単体を過剰に摂取した場合は、逆にアルツハイマー病のリスクを高める可能性も示唆されました。
ティータイムは脳を守る習慣に
この結果は、毎日の生活に紅茶を取り入れることが、脳の健康維持に役立つ可能性を示しています。コーヒーも適量であれば良い影響が期待できますが、あくまで「飲みすぎない」ことが大切です。飲み物に含まれる成分が脳に良い影響を与える一方で、カフェインの過剰摂取は逆効果になるかもしれないという点は、覚えておくべき重要なポイントです。
暮らしへのヒント:賢い飲み方
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紅茶を毎日の習慣に 1日1杯からでも良いので、朝食時や休憩の時間に紅茶を取り入れてみましょう。無理なく続けることが大切です。
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コーヒーは「1日3杯」を目安に コーヒー好きの方も、1日1〜3杯程度の適量を心がけ、水代わりのような過剰な飲み方は避けましょう。
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カフェインの摂りすぎに注意 エナジードリンクやサプリメントにもカフェインは含まれます。トータルで摂りすぎないよう意識してください。
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自分の体質を大切に カフェインで眠れなくなる方や持病がある方は、無理をせず、デカフェ(カフェインレス)などを上手に活用しましょう。
まとめ
今回の研究から、紅茶を飲む習慣が認知症リスクを遠ざける可能性が高いことが分かりました。コーヒーも適量であれば予防につながる可能性があります。ただし、これだけで病気を完全に防げるわけではありません。バランスの良い食事や適度な運動と合わせて、楽しいティータイムを健康作りに役立てていきましょう。
もし物忘れなど気になる症状がある場合は、早めに当院の認知症外来へご相談ください。
お茶、コーヒー、カフェインの摂取と認知症およびアルツハイマー病のリスク:コホート研究の系統的レビューとメタ分析。
Tea, coffee, and caffeine intake and risk of dementia and Alzheimer’s disease: a systematic review and meta-analysis of cohort studies.
Food & function. 2024 Aug 12;15(16);8330-8344.
