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2025,01,27

コラム

【コラム】運動が認知症リスクを軽減する可能性

認知症リスクが高い遺伝子を持つ人でも、定期的な運動を通じて心肺フィットネス(CRF、心肺持久力とも呼ばれる)を向上させることで、認知症リスクを軽減できる可能性があることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究で公表されました。。

この研究は、CRFと認知症リスクとの関係を長期にわたって追跡したもので、「British Journal of Sports Medicine」に掲載されています。

心肺フィットネス(CRF)とは?

CRFは、運動中に筋肉へ酸素を供給するための循環器系と呼吸器系の能力を指します。

20代から筋肉量が減少することで徐々に低下し、70代になると10年ごとに20%以上も低下します。

CRFが低い状態は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患リスクや、全死因死亡率の強力な予測因子とされています。

研究の詳細

この研究では、39歳から70歳の認知症のない成人61,214人を対象に、最大12年間の追跡調査が行われました。

エアロバイクを用いた6分間の運動テストが行われ、参加者のCRFのレベルを低・中・高に分類されました。

また、認知症の遺伝的リスクはアルツハイマー病の多遺伝子リスクスコアを用いて評価され、同じく低・中・高の3つに分類されました。

主な結果

  • 追跡期間中に553人(0.9%)が認知症と診断されました。
  • CRFが高いグループ:
    • 認知症発症リスクがCRFが低いグループに比べて40%低下
    • 認知症の発症が平均1.48年遅延(95%信頼区間0.58〜2.39)
  • 遺伝的リスクが中・高のグループ:
    • CRFが高い人は、CRFが低い人に比べて認知症リスクが35%低下

運動がもたらす認知症予防の可能性

研究チームは「CRFが高いほど、認知機能が向上し、認知症リスクが低下する」と結論付けています。

特に、遺伝的リスクが高い人にとって、CRFを強化することは認知症予防の有効な戦略になる可能性が示されています。

ただし、研究グループは因果関係を証明するものではなく、CRFと認知症リスクとの関連を示唆するものであると強調しています。

実生活への応用

この研究結果を日々の生活に活かすためには、以下の取り組みが有効です。

  1. 適度な運動を習慣化する: ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を定期的に行うことで、CRFを高めることが期待できます。
  2. 運動の種類と頻度を工夫する: 毎日30分以上の運動を目指し、週に数回強度の高い運動を取り入れることが理想です。
  3. 心肺機能をモニタリングする: 定期的な健康診断やフィットネステストを通じて、自分のCRFレベルを把握しましょう。
  4. 認知症リスクを知る: 家族歴や遺伝的リスクを考慮し、適切な予防策を講じることが大切です。

まとめ

心肺フィットネスを向上させることは、認知症リスクを軽減する可能性がある有望な方法です。特に、遺伝的にリスクが高い人にとって、運動を通じてCRFを強化することは、認知症予防の重要な一歩となるでしょう。適度な運動を取り入れ、健康的な生活を目指すことで、将来のリスクを低減することが期待されます。

【引用】

さまざまな遺伝的素因レベルにわたる心肺機能と認知症リスクとの関連性:大規模な地域ベースの縦断的研究。

Association of cardiorespiratory fitness with dementia risk across different levels of genetic predisposition: a large community-based longitudinal study.

British journal of sports medicine. 2024 Nov 19; pii: bjsports-2023-108048.

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