忘年会シーズンにもなり、ややお酒や食事が多くなってしまいがちな季節になってきました。
皆さんは、好きなお酒の種類がその人の生活習慣を映し出す鏡になるかもしれないと聞いたら驚くでしょうか？
米国の研究チームが発表した研究結果によると、ビール、ワイン、蒸留酒といった好みの酒によって、健康状態や生活スタイルに顕著な違いが見られるというのです。
お酒の種類と生活習慣の関係
この研究は、1,917人の米国成人（平均年齢46.8歳）を対象に行われ、参加者は自分の飲酒習慣や食生活、運動量について回答しました。その結果、以下のような興味深い傾向が明らかになりました。
ビール好きな人
- 食生活: ビールを好む人は、加工肉や高カロリー食品など、炭水化物が多く食物繊維が少ない食事を摂りがち。
- 身体活動: 身体を動かす習慣が少なく、運動不足の傾向がある。
- タバコ: 喫煙者の割合が高い（27.8％）。
- 健康食指数（HEI）: 食事の質を評価するHEIのスコアが最も低く、平均49.3点と他の酒を好むグループに比べて低い値を示しました。
- 収入: 世帯収入が低い割合が高い（12.7％）。
ワイン好きな人
- 食生活: 野菜、果物、乳製品など栄養価の高い食品と一緒に飲むことが多く、バランスの取れた食事を摂る傾向がある。
- 身体活動: 身体を動かす習慣が多く、運動量が十分である人の割合が高い（59.8％）。
- 喫煙: 喫煙者の割合が低い（10.0％）。
- 健康食指数（HEI）: 平均55.1点で、ビール好きな人よりも高いスコアを記録しました。
蒸留酒やカクテル好きな人
- 食生活: 比較的バランスの取れた食事をする傾向があるが、ビール好きな人ほどではないものの、高カロリー食品を好む傾向もある。
- 身体活動: 適度に運動をしている人が多い（46.1％）。
- 喫煙: 喫煙率は19.9％と中間的な値を示しています。
- 健康食指数（HEI）: 平均52.8点で、ビール好きな人よりも高めですが、ワイン好きな人ほどではない。
酒と食べ物のペアリングが生活習慣に与える影響
研究者たちは、飲む酒の種類が一緒に食べる食品の選択に影響を与えることも指摘しています。
- ビール: 揚げ物や塩分の多いスナック類、加工肉などとともに飲むことが多い。
- ワイン: 肉、魚、野菜、乳製品など、栄養価の高い食品と一緒に摂取することが多い。
- 蒸留酒/カクテル: 甘いデザートや高脂肪食品と一緒に飲む場合が多い。
食品と飲料のペアリングの選択が、長期的な健康に影響を与える可能性が高いと考えられています。
たとえば、ビールと揚げ物の組み合わせは高カロリーな食生活を助長する一方で、ワインと野菜の組み合わせはより健康的な選択となります。
なぜこの研究が重要なのか？
米国では、アルコールの過剰摂取が肝硬変や代謝機能障害関連脂肪性肝疾患（MASLD）の主要な原因となっています。
特にビールを好む人々に見られる、不健康な食生活や運動不足、喫煙といった生活習慣は、これらの疾患リスクをさらに高める要因となります。
研究を主導したMadeline Novack氏は、「酒の種類ごとに異なる生活習慣を理解することで、より効果的な健康管理や予防策を提案できる可能性がある」と述べています。
飲酒習慣のある人が自身の生活スタイルを見直し、バランスの取れた食事や運動を意識することが肝要です。
健康的な飲酒習慣を目指して
お酒を楽しむことは生活の一部ですが、健康的な飲酒習慣を心がけることが重要です。
- バランスの取れた食事を心がける: 野菜や果物、適度なタンパク質を含む食事を意識しましょう。
- 適度な運動を取り入れる: 週に数回、軽い運動を取り入れることで、飲酒による健康リスクを軽減できます。
- 飲酒量を見直す: 過度な飲酒は避け、適量を守るようにしましょう。
好きなお酒の種類から、自分の生活習慣を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか？
【引用】
米国肝臓学会議年次学術集会（AASLD 2024、11月15～19日、米サンディエゴ）で発表され、「Nutrients」に11月13日掲載されました。
